ちょっとだけ新車に乗った日

もう10年以上乗っている車の部品を交換することになりました。
ディーラーさんの作業が終わるまでの２時間ほどは代車を使わせて頂く事になり、旦那さんがその受付を済ませている間、私は車で待つ事にしました。

少しすると、ディーラーのお兄さんがやってきました。
「あの、車検証をお預かりにきました」
『あ、そうですか、でも私、どこにあるのかわからなくて、ココかな？？・・・』
お兄さんは目の前のダッシュボードをパカっと開けました。

すると、中から登場したのが、詰め込まれた大小いっぱいのスーパーのビニール袋たち。
ありゃあ〜。
車に乗ると何かと必要になる袋。とはいえ、過剰な数の数のビニール袋が、”どのサイズでもご自由にお取り下さいといわんばかりに、しかもこぼれそうにワッサと出現したのでございました。

「車検証は・・・・あ、これこれ、ありました」
お兄さんは、車検証の上に乗っかっているポケットティッシュとか、小物入れとか、スーパーのビニール袋とかの下のすき間にあった検証を見つけると、器用にフェイントを効かせてシュシュっと小物を落とさず車検証を引っ張り出すと、小走りに戻って行きました。
あっちゃ・・・・・もうちょっと整理してあったらよかったのに・・・・ま、気にしないでおこ。

さて、やってきた車は真っ白なピカピカのワンボックス。
助手席に乗ると、プーンと新しい匂いがします。
「これ、新車だよ」旦那さんが言いました。

ディーラーのお兄さんが、キチンと両手を前に組んで、ニコニコしながらこっちを見ています。
「お父さん、運転できるの？」シートベルトを閉めながら聞いちゃった。
「まあね」

旦那さんは両手であちこち触ってから、ゆっくり駐車場から車を動かしました。
ディーラーのお兄さん、”行ってらっしゃいませ”と、にっこり頭を下げる。
お、おほほほ・・ど、どうも・・・・

「この車はエンジンかけるのに、キーは刺さないんだぞ」
『へ〜　ドア開けるときはどうすんの？』
「ボタンで開けるべや」
ボタン・・・・・・
「自動運転にもなるしな」
自動！
なんだかよくわからない・・・けど、かっこいい。
こんなの、テレビのCMでしか見た事なかったもなあ。

買い物を済ませてからディーラーに戻り、もとの車に乗り換えです。
すすけたグレーの我が家の車がやっぱし馴染む。
いつも乗ってる車だもんね。
でも、”あの車カッコいかったよね〜”　なんて車の中で口に出したら、この車はショックでどこか壊れてしまうかもしれないから黙ってよ。
もう少し、元気で走ってもらわなくっちゃ。
スーパーの袋もポイポイ入れられるしね。

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