『北海道のむかしばなし』という本に載っていた『紅スズラン』というアイヌの伝説を紹介したいと思います。
このお話の場所は、千歳に近い厚真(あつま)という所です。
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昔々、厚真川の近くにコタン(村)がありました。
そこに、美しくて心優しい村長の娘トコンマがいました。
トコンマが生まれてからというもの、村ではただの一度も争い事が起きないので、村の人達はトコンマは神の使いに違いないと思っていました。
ところがあるとき、平和な村は突如よその村に攻められてしまったのです。
怪我を負った村長は「この仇をうってくれ」とトコンマに言い残し、死んでしまいました。
トコンマは勇敢にも父のかわりに戦いました。けれどもはや敵の強さは圧倒的です。トコンマもついに敵に捕まってしました。
ところが、そのあまりの美しさに、敵はトコンマを殺す事ができませんでした。
しかし、父の仇を打つ事ができなかったことを嘆いたトコンマは、タシロを自分の乳房に突き刺し父の跡を追いました。
それから不思議な事が起こりました。
胸から流れ出したトコンマの血が止まらず、流小さな沢を作ったのです。
いつしかこにトコンマの血に染まったであろう赤い色をした すずらん が咲くようになりました。
人々は、そのすずらんのことを『紅すずらん』と呼ぶようになりました。 <おわり>
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お話にでてきた『タシロ』とは
アイヌの人達が使っていた小刀の事をアイヌ語では『マキリ』というそうです。
『マキリ』という言葉は私も聞いた事があります。アイヌ語だったんですね。
このマキリの大型のものが『タシロ』と呼ばれているものだそうです。
本当の赤い色のスズランはあるのでしょうか
スズランと言えば、色は白と決まっていますよね。
でも、ピンク色のスズランならあるそうで、販売もされています。
トコンマの血がしみ込んだと言われるスズランがどんな色だったかはわからないけど、いつか野生で咲いてる『紅すずらん』を見られたらいいなあと思います。
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