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積もったばかりの雪の歩道は、足跡だけの踏み分け道です。
誰かとすれ違う時は、お互い背中合わせになったり、もっと細い道では、どちらか一方が新雪に足を踏み入れて相手を通してあげたりもします。
でも時々あてがあずれて、すれ違う時に、自分が右に寄ったら相手も同じ方向に、今度は左と思ったら相手もまたまた同じ方向にズレたりなんかしちゃてさ、あららと思いながらお見合いしちゃう時もあるもんね。
どちらにしても、細い雪道でのすれ違いには、譲ってくれた相手の人に、小さな声で「すいません」と言ったりもして、雪が解けるには至らないけど、ホッとなコミュニケーション
があるわけです。
私の歩いている前方からも、若い男性がやって来るのが見えました。
足跡の上書きほどの雪道は、背中を合わせてもすれ違う事はできないね。
すると彼は、10センチの深さはあろうかという雪に足を踏み入れて、私が通りすぎるまで、その場で
待っていてくれるようでした。
あら、通してくれるんだ。
申し訳ないからちょっと小走り、彼の横を通過です。
「すみません・・・」ほほ、私ったらちょっとよそ行きの声出しちゃったさ。
だ、だって、カッコいい人だったんだもん。
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