これでも町内会の班長さ

今年は町内の班長になりました。
町内会費は殆ど集まったのに、独身の男性が住んでいるという1軒だけが、まだ集金できません。
今日はこれで5回目の訪問です。
今のご時世、家族があってっも町内会には入らないという人達が多いから、ましてや独身だもの、断られるかもしれないよね、気が重いわ。
あら、今日は窓に灯りがついています。
ピンポ〜ン。
「はい」
「あ、あの町内会費をお願いしたいのですが」
ガチャ！とドアが開きました。

現れた男性は、歳の頃なら30歳くらいかな。若白髪で、NHKのキャスターさんみたいな爽やか系。
「あ、あの町内会費を」
「はい、おいくらですか？」うわ、会話も爽やかだわ。
あれ？あれ？朱肉がない。ゴソゴソゴソ・・・
「ちょっとお待ちになって下さいね。ほほほ」ゴソゴソゴソ・・・
そ、そうだ、先日、新しいのに変える為に、カバンから取り出したんだっけ。
「あ、あのすみません、朱肉忘れちゃって、ペンで印を付けますから」
「はい、いいですよ」
ペン、ペン、何処じゃ・・・・ゴソゴソゴソ・・あらいやだ、私ったら、ペンもどっかにいっちゃった？
なんか、あせっちゃうじゃないの。あ、あったあった。おほほほ。

えーと4月分の所から○印っと。・・・あ、見えない、そうかメガネも忘れてきちゃったんだ。
ひたいにシワを寄せていているうちに、灯りがパっと消えました。あらら、この電気、人感だわ。
手をグルグル回してパっと電気を付けました。
今のうち、えーと、このあたりだな、まるっと。
ズボ！うわ、穴あいた！ペンにちょっと力が入っちゃったみたいだわ。ホ、ホホホホ。

これが隣りのおばちゃんちだったらさ『いやいや忘れもんばっかしでボケたべさ、がははは・・』で済んだのにな。なにげに恥ずかしい自分がいるわ。
最後の集金、本当ならこれでホっとするずなのに、なんだかシュンとしちゃった班長だべさ。

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