嵐が坊さまを時間稼ぎ？

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今日は、お坊さまが来る日です。
いつもなら朝も早々に来るんだけれど、10時になろうとしているのにまだ来ません。
昨日から日本中を荒らし回っている強風が、今日はこちらで大暴れしているもんで、もしかしたらお坊さまも四苦八苦しているのかもしれないね。

仏壇から、婆ちゃんが作った”おりく膳”のいい匂いがしています。
あら、いつものそこにあるはずのお布施が見当たりません。
「婆ちゃん、お布施、用意した？」
「そこにあるべさ」

ピカピカ座布団をめくっても、仏壇の回りをキョロキョロ見ても、やっぱしない。
「見当たらないよ？」
「ねえワけねえな。そこだべさ」

婆ちゃんは、その場所がぽっかり空いてるの見て
「ありゃ！」と驚いてから、
「仏壇に置いたべか、見てみれ」と言うので、仏壇回りを見るけど見当たりません。
「引き出しだべか！」今度は引き出しを開けてみたけど見あたらない。
「そっちの棚の上か？あっちのテーブルの上か？」
婆ちゃんが思い立つ所を次から次と探してみたけど、やっぱり、どこにも見あたりません。

「おらこれだもな〜ボケたもな〜」
婆ちゃんは自分を責めながらも、今にもお坊さまが来ちゃうかもしれないので、一生懸命考えている様子。
「母さん！箱でないべか！」
箱？
「ほれ、”おりく膳”の箱よ！」

押し入れから、”おりく膳”の器をしまっている段ボールの箱を取り出してフタを開けてみると、そこにはクッションの紙と混じってお盆とお布施の封筒が！
いかったね〜。よく思い出したねよね〜。
「おら、坊さん来るべと思ったからよ〜」
そして、今度はちゃんとお布施は定位置に。
お坊さまがやってきたのは、それからまもなくの事でした。

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