北海道・札幌発・だべさ通信5

親鮭が死後に残す子ども達への命のバトン

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今日は、札幌の ”かでる27” で行なわれた 『耳の日(3月3日)市民のつどい』に出かけてきました。
その中で聞いた『鮭の話し』の中で、心に残った話しがあったので忘れないうちに書いておこうと思います。

 

鮭と言えば、みなさんはどんな事を思い浮かべますか?
○ 川で卵から孵化して、稚魚になると海に下って生活する。
○ 4年ほどすると、子孫を残すために、再び生まれた川に戻ってくる。
○ 生まれた川がどうしてわかるのかは、どうも、水の匂いを知っているかららしい。
○川に戻った鮭は産卵を終えると、その一生を終える。
○産卵したあとの鮭の事を、北海道ではホッチャレなんて言う。
あ、あと、すごく美味しい・・・大好き・・・・
私が知っているのはこれくらいかな。

 

 

鮭は3000~4000個の卵を産む

 

1匹のメスが産む卵の数は3000~4000個だそうです。
まん丸の大きなイクラの粒をそんなに抱えているなんて。

お腹すんごく重たいでしょうに、臨月のお腹して川の流れに逆らってそじょうしてくるんですから、女ってえらいでしょ。

 

 

イクラと筋子の違い

 

海にいるあいだは、卵は膜で覆われひとかたまりになっています。
この状態で獲られたものが筋子。

川にそじょうするにしたがって卵は成熟し、覆っていた膜がなくなり、産卵に備えるようになる。
この時に獲られた卵がイクラ。

 

 

鮭の卵は積算温度で生まれてくる

 

鮭の卵は、水温が8度なら産卵からだいたい60日で孵化するそうです。
でもね、水の温度によって孵化する日数が変わってくる。
水温が6度だったら孵化に必要な日数は増えて80日。
そこでピン!ときた方はすばらしい!

 

鮭の卵が孵化するのには、水温と日数の間に重要な関係があるのです。
実は毎日の水温の積み重ねで、一定の数字に達したときに孵化が始まります。
このように1日の平均温度をたしていった合計の温度の事を『積算温度(せきさんおんど)』と言うそうです。

 

『鮭のふるさと千歳水族館』のページによりますと、鮭の積算温度は480度。
カラフトマスは570度。サクラマス450度。マスノスケ(キングサーモン)580度。
ギンザケ450度、ニジマス310~320度となっていました。

 

不思議だ・・・。
どうして小さな卵のうちに、そんな難しい足し算ができちゃうのか?・・・・
毎日の温度を60回も足していたら、何度かは計算間違いしちゃいそうなもんなのに・・・賢い! 賢すぎ!
鮭の稚魚は、もちろん毎日算数を勉強しているわけではなく(してたらすんごい)、本能的にわかっているのだろうけど、生き物の力って、まだまだ神の領域なんだなあってつくづく思いました。
積算温度は鮭の世界だけの事ではなくて、多くの植物たちも持っている本能だそうです。

 

 

親の鮭から引き継がれる命のバトン


産卵を終えて死んでいく鮭は、その後は動物に食べられたりします。例えば熊とかね。

そのあと、山に戻って熊はフンをする。
フンの中には鮭が持っていた海の栄養が含まれているので、それが木々を育て土を肥やし、その土は豊富なミネラルを再び川に戻す。

・・・とここまでは、なんとなーくわかるように思う。

 

けれどそれとは別に、死んだサケは川の中でどうなっているのかというと、研究者さんたちが調べたところ、鮭の頭の中から沢山の水性昆虫が見つかりました。
虫は何日もかけて、その鮭を食べ尽くします。

さて、親の鮭が死んだ60日あとに、子ども達が孵化を始めます。
生まれたばかりの頃は、お腹についている袋の栄養だけで、じっと動かずに育ち、体長が5センチほどに成長するといよいよ大海原に出発です!

 

これからは、自分の力で食べ物を捕まえなくっちゃいけない。
この時に、子どもたちのお腹を満たしてくれるのが、死んだ親を食べていた小さな虫たちなのです。
子ども達は、間接的に親からもらった栄養を力に変えて、大海原に向かっていくのでした。


なんていう命のバトン!

親ってさあ、ありがたいよね。
ついつい人間にあはめて考えちゃって、ひとり、感動して帰ってきました。

 

 

とか思いながら、今日の夕食は鮭を焼きました。やっぱし美味しいもね。
でも今日の鮭は、なんだかいつもと味が違う、ありがた〜い味がしました。


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