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「けさ、電話が何回も鳴ってよ、おら でなかったも」
婆ちゃんの茶の間にある固定電話の事です。
「電話よこしたの ありゃキン婆さんだ、ああ」
婆ちゃんは、こぶしのきいた声でうなずきながら、確信したように言いました。
なんだか、時代劇に登場する ” おかっぴき” が 、事件の真相を解明した時の顔みたい。
”へえ、そうなの”
「おら、キン婆さんは好きでねえから電話にでないんだ」
キンさんは、我が家の目と鼻のさきくらいの所に住んでいるお婆さんで、私たち夫婦からみると、婆ちゃんとはけっこう仲良しです。
” 婆ちゃん、電話を取らなくても(受話器を取らなくても)誰から電話がかかってきたのかわかるの? ”
すると婆ちゃんはすかさず、
「わかるさ〜」と曲った背中を大きく伸ばして、ちょっと上から目線になりました。
「キン婆さんからの電話の音はな・・・・近いんだ」
”・・・・・・・・ そうなんだ〜 ”